自動認識ソリューションのサトーグループは、新たなラベリングソリューションを開発し、医薬品の偽造防止と、今後施行予定のEU規制の遵守を促進する。
医薬品の偽造は、人体へのリスクや経済的損失の面で深刻な影響を与えている。偽造医薬品の摂取が原因で、世界で毎年100万人が死亡しており(※1)、医薬品市場における非合法な薬品の売上の割合は、全体の10%を超えている(※2)。シリアル番号の使用が、医薬品を確実に追跡するための鍵となり、2019年に施行されるEUの医薬品偽造対策指令(Falsified Medicines Directive)では、パレットごとのみに留まらず、服用1回分ごとにまで固有の識別子を付加することが求められ、規制がより厳格になる。しかし、大量のデータを取り込み、固有の識別コードを生成し、それを製品に付け、検証するというプロセスを有効かつ効率的に行うことは、医薬品のサプライチェーンにおける大きな課題となっている。
サトーは、医薬品業界とサプライチェーンに属するすべての顧客が、医薬品のデータや内容を正しくラベルに印字することを可能にするだけでなく、自社の業務システムにこのデータを取り込み、検証することを可能にする印字ソリューションを開発した。日本では、ヘルスケア業界におけるシステムの実に約7割がサトーの技術を導入している。また、必要に応じたインテリジェンスの追加を可能にする、サトー独自のAEP(Application Enabled Printing)技術が採用されている。
サトーのNXシリーズをはじめとするAEP対応プリンタは、内部処理能力を備えており、PCに接続することなく、計量器や手持ちのバーコードリーダー、キーボードなどの外部機器に接続するだけで印字が可能。また、AEP対応プリンタはプログラミングが可能で、刻々と変化する要件への対応力に優れている。これらの機能は、医薬品サプライチェーンにおけるトレーサビリティの義務の遂行に必要な接続性、柔軟性、利便性を提供する上で重要な役割を果たす。
例えば、医薬品のラベル検証は大変重要である。AEPを活用することによって、さまざまな検証方法が考えられる。基本的なソリューションは、プリンタにリーダーを追加して、ラベルを読み取り、情報が正しいことを確認する方法。一歩進んだソリューションとして、カメラを使用し、光学的に情報を検証する方法がある。オープンソースのLinux系プロトコルを使用しており、サトーはパートナー企業と協力して、互換性に優れたリーダーやカメラなどのコンポーネントの作成を促進する。これにより、製薬会社や医薬品製造受託機関、医薬品サプライチェーンにおける各組織が、真に統合されたラベリングソリューションを導入することが可能。
「EUの医薬品偽造対策指令は、医薬品の識別やトレーサビリティの強化により、医薬品業界が彼らのビジネスや顧客を守ることを促進する最新の動きです」と、サトーの欧州地域におけるヘルスケア事業のマネージャーであるケビン・アラールは述べている。「サトーとパートナーは、サプライチェーンの各企業(医薬品メーカー、システムインテグレータ、その他の製品メーカー等)と協業し、手頃な価格で効果的なラベリングソリューションを開発し、医薬品包装における、シンプルかつ100%確実なシリアル番号表示を実現します」
(※1)出典:Interpol(国際刑事警察機構)2013年 (※2)出典:WHO(世界保健機関)2006年