<2017年5月18日>ハネウェル(NYSE: HON、日本法人ハネウェルジャパン(株))は、米国ルイジアナ州ガイスマーに新設した次世代カーエアコン用冷媒「Solstice® yf (HFO-1234yf)」の製造施設が、5月16日(米国東部時間)に商業稼働を開始したことを発表した。ガイスマー工場は、現在稼働するHFO-1234yfの製造施設として世界最大の規模。
ソルスティスyfは、従来のカーエアコン用冷媒であるR-134aを代替するものとしてハネウェルが開発したもので、その功績に対し米国化学会の名誉ある賞を受賞している。ソルスティスyfは、GWP(地球温暖化係数)が1未満と二酸化炭素よりも低く、また従来冷媒のR-134a(GWP:1,400)に比べGWPを99.9%低減する。R-134aは、地球温暖化の要因となるハイドロフルオロカーボン(HFC、いわゆる代替フロン)であることから、各国政府や産業界では2000年代始めから削減に向けた取り組みが行われている。
ハネウェル、フッ素化学品事業、副社長兼ゼネラルマネージャーのケン・ガイヤー氏は、「ソルスティスyfは、これまでの性能を損なうことなく高い環境配慮性を実現できる代替ソリューションとして、自動車産業に大きく寄与する画期的なイノベーションです。ハネウェルは、十数年にわたり研究開発に大規模な投資を行い、結果、高まるHFC(代替フロン)からの移行ニーズを満たし、またニアドロップイン(ほぼ換装)にも対応する新しい冷媒製品の開発に成功しました。ソルスティスyfは、用途に沿い使用する上での安全性が実証されており、また燃費効率の向上と、温室効果ガスの削減に寄与します」とコメントしている。
ハネウェルは米ガイスマー工場の建設、設備にかかる大規模な投資の実施によって当該地域の長期にわたる、高価値かつ持続可能な数百もの雇用機会の創造に寄与し、20%を超える労働人口の増加やこのプロジェクトの一部としておよそ1,400件の建設関連雇用を生み出した。このような大規模投資を経て完成したガイスマー工場には、ハネウェルの「つながる工場」を実現する包括的な製造プロセス自動化技術に関するイニシエチブである「ハネウェル・コネクテッド・プラント」をはじめとする最新の製造技術が導入されている。 またハネウェルは、ガイスマー工場を擁する米ルイジアナ州内にソルスティスyfを含む、ハネウェルが「ソルスティス」ブランドにて展開するすべての次世代低GWP製品群の製造ハブを整備した。これらの製造施設の整備には、ハネウェル独自の大規模な投資に加え、ルイジアナ州経済開発局から包括的な奨励策による支援を受けている。
ハネウェル、自動車向け冷媒担当ディレクターのリック・ウィニック氏は、「新しいガイスマー工場で製造されるソルスティスyfは、世界中の自動車産業に向けた主要な冷媒供給元になります。米国及び欧州では多くのお客様が成功裏に新冷媒への移行を完了しています。ガイスマー工場が稼働開始することで、その他の国々に向けても供給体制を充実し、次世代の環境配慮性に優れたカーエアコン冷媒への移行に向けた施策の実現に寄与してまいります」とコメントしている。
現在、HFO-1234yfは既に世界で2千万台以上の自動車に搭載されており、2017年末にはこれが4千万台を超えると予想されている。世界中の自動車メーカー各社では、米国市場向けの車両について、さまざまな環境的利点を持つ新冷媒を搭載したモデルを少なくとも1モデル展開することで市場のニーズに応えている。世界で本格的にこの新冷媒が導入された際の温室効果ガス削減量は、3千万台を超える自動車が永久的に排出するCO2量に相当する。
ハネウェルでは、ソルスティスyf冷媒のほか、ハネウェルのHFO(ハイドロフルオロオレフィン)技術をベースとし、従来の機器性能を損なうことなくカーボンフットプリントの削減を可能にする「ソルスティス」ブランドの 業務用冷凍冷蔵空調機器、フォーム用液状およびガス発泡剤、 溶剤および エアゾール用噴射剤 を取り揃えている。これら次世代製品の研究開発および製造供給体制の整備に向け、ハネウェルは9億米ドルの投資プログラムを実施した。
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【次世代カーエアコン用冷媒】ハネウェル、米ルイジアナ州の「ソルスティスyf」製造施設が稼働開始
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