ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーは、3月28日(米国時間)、米国テキサス州フリーポートにおける世界的規模の新エチレン工場の建設が完了したと発表した。ダウが約2年前に計画した完了予定日から、1週間以内での建設完了の達成になる。現在、このエチレン工場は試運転段階に進んでおり、年央には稼働開始する予定。
「顧客ニーズに対応し株主に価値を生み出すとともに、従業員に開かれた機会を創出するという公約に対して、ダウのチームの揺るぎない能力が発揮された結果、今回の重要な成果が達成されました。フリーポートのエチレン工場は、われわれの米国メキシコ湾岸地域における60億ドルに上る投資の要となります。成長に向けたわれわれの投資は、米国産シェールガスの有利性を生かしており、何千もの新規雇用を創出するとともに、ダウが米国で生産する製品の約20パーセントを輸出することで、著しい経済価値をもたらすものとなります」と、ダウ会長兼CEOのアンドリュー・リバリス氏は述べている。
プロジェクトのピーク時において、3千人以上のダウの従業員と請負業者が建設に携わった。また、損失時間を伴う事故が発生することなく、連続500万時間以上の作業時間を記録した。ダウの新工場はまた、米国メキシコ湾岸地域で計画されているエチレン関連投資注1としては、資本集約度が最も低いプロジェクトとなっている。
「最先端のエチレン工場を建設するという複雑なプロジェクトを成し遂げた、ダウのチームの努力を大変誇りに感じています。新しいエチレン工場は、業界を先導するダウの統合を強化するとともに、包装や輸送、インフラ、コンシューマー・ケアなど、われわれがターゲットとする消費者主体の市場において、競争有利性を強化するための主要基盤となります。この投資においては、シェールガスの活用に対するダウの優位性が生かされるだけでなく、業界で最も幅広く、また、差別化された誘導品製品群の展開を強化します。アメリカ大陸で成長を続ける消費者の需要に対応すべく、このエチレン工場では、ダウの特許取得済みの触媒やプロセス技術が利用されています」と、ダウ社長兼COOのジム・フィッタリング氏は述べている。
年産150万トンの生産能力を備える世界的規模の生産工場は、ダウのメキシコ湾岸地域における60億ドルの投資計画の主要部分を占めるもの。この計画は、川下の消費者が主体となる事業における競争力の強化を目的としている。この新工場からは、2017年から2018年にかけてダウが稼働を予定している誘導品の工場に向けて、原料が供給される。
ダウの誘導品関連投資は次の通り。
◎「ELITETM(エリートTM)」エンハンストポリエチレン樹脂
用途:食品用高機能軟包装材、衛生用品
年産能力:40万トン
◎新規特殊低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂
用途:産業および物流業界用包装
年産能力:35万トン
◎次世代「NORDELTM(ノーデルTM)」メタロセン系エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)
用途:輸送、インフラ、耐久消費財など、高利益率の用途に向けたソリューション
年産能力:20万トン
◎高流動特殊および標準ポリオレフィンエラストマー
用途:高機能軟包装材、輸送、消費者市場
年産能力:32万トン
◎バイモーダル気相法を用いた製品の生産デボトルネック
用途:高機能パイプ、建具、閉じ具など
年産能力:12万5千トン
「フリーポートの拠点にTX-9クラッカーが新たに加わったことは、素晴らしい成果です。現在、この生産拠点においては、400万トン以上のオレフィン系製品の生産能力を擁しており、われわれがターゲットとする高成長誘導品の生産に向けて、低コストの統合メリットを提供します。このプロジェクトはまた、計画通りの予算とスケジュールで大規模のプロジェクトを完成に導くことができるダウの能力を示すものです。これから数カ月かけて実施する試運転や稼働開始に向けた準備に向けて、先行きの良さを示しているといえるでしょう」と、ダウのハイドロカーボン事業部社長であるダグ・メイ氏は述べている。
注1:生産能力1トン当たりの投資額による計算
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【エチレン】ダウ、米国テキサス州フリーポートにおける世界的規模の工場完成
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