DIC(株)は、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)未来社会創造事業の研究プロジェクト「Society 5.0※1の実現をもたらす革新的接着技術の開発」(以下、CREAプロジェクト)に2020年度より参画した。同プロジェクトは、次世代モビリティである電気自動車(EV)や自動走行車などの軽量化や部材リサイクルに貢献する革新的な接着技術の研究開発を目的としている。今後は、同プロジェクトメンバーである他の組織や企業とのオープンイノベーションにより技術開発を融合させ、2022年には実証実験フェーズへの移行を目指す。
CREAプロジェクトは、九州大学大学院工学研究院の田中敬二教授らの研究グループが提案し、2018年度に文部科学省から示された大規模プロジェクト型の技術テーマの1つで、高分子科学、先端計測および数理科学を専門とする研究者と連携企業の連合体が、特定先端大型研究施設などの支援のもと接着現象に関連する界面の学理からものづくりまで一貫して研究開発を行う。
本研究テーマである革新的な接着技術は、Society5.0における自動車産業の変革(CASE)※2を実現するための重要な基盤技術の1つとして位置付けられている。人命に関わるモビリティ(自動車)において、接着技術を導入するには強度や耐久性の保証、およびそれらに基づいた健全性や信頼性が求められる。共同研究では、モビリティの構造接着で重要な異種材料接合の分野において、高耐熱で高耐久の機能と、廃棄の際に従来よりも容易に解体できる資源リサイクルに適した易解体性を兼備したエポキシ系の接着樹脂の開発を目指す。
DICグループは、新たなモビリティ社会に貢献するリサイクル性を兼備した複合材料の開発を進めることで、循環型社会の実現およびSociety5.0の実現に貢献していく。
※1 Society 5.0とは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会のこと。情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において日本が目指すべき未来社会の姿として提唱されたもの。
※2 CASEとは、自動車産業の変革を示すキーワードとして、自動車の次世代技術やサービスの新たな潮流を表す英語の頭文字4つ「C =Connected(つながる)」「A=Autonomous(自動運転)」「S=Shared(共有)」「E=Electric(電動)」を繋げた造語。
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【Society 5.0】DIC、産官学連携の革新的接着技術開発プロジェクトに参画。電気自動車など次世代モビリティの部材リサイクルに貢献し、循環型社会も実現
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