<米国ジョージア州アルファレッタ、2020年2月19日>Surgical Coatings, LLCが、電気外科手術用金属チューブのコーティング用途に、ソルベイの「キータスパイア®」 ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)パウダーを採用した。同パウダーが選ばれたのは、耐薬品性と耐疲労性に加えて、高温でも傑出した機械特性と寸法安定性が維持されるため。生体適合性材料であるキータスパイア®は加工が容易であり、また繰り返しの洗浄・滅菌にも耐える。
Surgical Coatings社はファインパウダー(FP)PEEKグレードである「キータスパイア® KT-820FP」と「キータスパイア® KT-880FP」を使用することで、高度な電気外科手術向けの静電塗装の適合性を高めている。KT-820FPは低流動性グレードであり、美麗な表面仕上げが得られる。一方、KT-880FPは高流動性グレードであり、複雑な表面形状の塗装が容易。キータスパイア® PEEKパウダーは品質と安定性に優れているため、Surgical Coatings社はコーティング厚さ1000分の1インチ単位(0.00254インチ/0.064516 mm)まで薄くすることが可能となった。
電気外科手術用途のコーティングには、モノポーラー周波や高電圧、洗浄と滅菌の繰り返しに耐えることが近年求められるようになっている。電気外科手術では、外科用メスなどの手術器具を使わずに、電気周波による清浄な切開を行う。電気絶縁性があるキータスパイア® PEEK材料は、執刀医と患者様を感電から守るための、金属チューブへの紛体コーティングが可能。
Surgical Coatings社の社長兼CEOであるJames Morris氏は、「新たな電気外科手術用器具の開発が加速し続けるなかで、お客様の要求をかなえる最善のサポートとなるような最先端のソリューションを提供することが、これまでになく求められています。その要求に応える材料として採用したのが、キータスパイア® PEEKパウダーでした。この高機能材料により、過酷な要求に応える電気手術技術の実現が可能となり、私たちのお客様が成功のために必要とするものを的確に提供できるようになりました」と述べている。
ソルベイのキータスパイア® PEEKパウダーを使用すれば、コーティングの厚さを均一にすることができるため、安定した特性を確保し、リスクを軽減することができる。市販の各種PEEKパウダーと比べ、ソルベイの材料は水分含量が少ないため、サイクルタイムの短縮とスループットの向上が実現する。乾燥時のエネルギー消費も低減する。その他のメリットとしては、ガス放出、寸法公差、表面欠陥の低減などが挙げられる。
Surgical Coatings社が求めていたのは、比類ないレベルのサービスを提供するとともに、豊富な製品群を持ち、そこから最良のソリューションを提案できるサプライヤーであった。また、色のカスタマイズができることも重要であった。美観を向上させ、自社のロゴに相応しい色を選び、ブランドを明確にするため。その要望に対し、ソルベイの技術サポートチームは広範な知識と専門性で応えた。
「Surgical Coatings社は、医療機器分野で急速に増えつつある電気絶縁材料への高度な要求にソルベイのキータスパイア® PEEKパウダーを採用することで対応することができました」と、ソルベイスペシャルティポリマーズ、グローバルビジネス部門のヘルスケア 担当グローバルビジネスマネージャー、Jeff Hrivnak氏は語る。「私たちの顧客ニーズに即した提案が今回の採用への成功を導いたのです。そこに、ソルベイと他のPEEKサプライヤーの違いがあります。今後、新しい電気外科手術機器でキータスパイア® PEEKパウダーを活用するケースが増えていくと考えています」。
■Surgical Coatings社について
Surgical Coatings, LLCは、医療器具向けの優れた表面コーティングサービスを提供している。同社は医療器具に特化したコーティングを行っており、対象製品は日々の重要な医療用途に利用されている。ISO 13485、IEC 60601、CGMPなどの規格や要求事項への準拠にも対応している。Surgical Coatingsの高度なコーティング技術としては、仮想マスキング、自動クリーンルームコーティング、無欠陥コーティングなどがある。