【特殊和紙】和玄、海外輸出用梱包・緩衝資材として用途開拓。サンプル提供開始

　京都で着物等保存用資材である特殊和紙の製造販売を行う和玄（株）は、江戸末期に呉服屋として創業し、平成11年より主力商品である特殊和紙の製造販売を手掛けている。

　同特殊和紙は、天然鉱石であるゼオライトやトルマリンなどを含む素材であり、吸湿性、抗菌性に優れ、また様々なガス類を吸着する機能から長期保管・収納が一般的である着物の保管用資材として広く利用されている。更に「加熱したり、天日干しする事で再利用可能」「化学成分を使用しない素材であり、廃棄しても環境負荷とならない」ため、SDGs(持続可能な開発目標)の観点からも優れた素材。

　同特殊和紙は、ホルムアルデヒド、アンモニアガスなどに対する高い吸着効果、強い抗菌作用、高い吸湿性能の科学的根拠を得ているが、この度、京都府中小企業技術センター(京都市下京区)と共同で研究を行い、新たに悪臭(イソ吉草酸)に対する吸着効果の科学的数値根拠を得た。これらの結果は、プラ製品やプラ系包装・緩衝資材の代替・補完資材としての有効性を示すデータである。
　近年日本から海外への輸出は増加の一途であり、今後もその増加が見込まれる。その中で特に対欧米輸出に関し、製品はもちろん梱包・緩衝資材に対しても非常に高い環境への配慮が求められている。湿度や各種有害ガスを吸着し、再利用可能、環境負荷がないという特殊和紙は、プラ系梱包・緩衝資材と比較し、非常に高い「環境対応型資材」と言える。更に「京都の着物保管用資材」である点も欧米顧客にとってはストーリーとなり、輸出関連企業、包装・緩衝材企業、輸送産業などにとって顧客へのアピール材料となると思われる。
　和玄では、特殊和紙を着物産業から更に広めるために、梱包・緩衝材としての正式発売に先立ち、サンプルの提供を開始する。海外輸出企業、包装・緩衝資材企業、物流企業などを対象とし、国内全域へ原則無償で提供する。希望企業と共に、利用に適した形態、量といった実用化に向けた開発を共同で行う予定。