セイコーエプソン(株)(社長:碓井 稔、以下エプソン)は、PrecisionCore プリント ヘッドを搭載した『R&D 用インクジェット装置』を開発した。
同製品は、インクジェット(IJ)技術の応用※に関する研究開発を促進し、IJ技術の新たな用途 を拡大することを目的に開発したもの。IJ技術を用いた生産プロセスの革新や、IJに適合した新素材の開発などに取り組む企業・研究機関向けに、2020 年 3 月から日本国内での 販売を開始する予定。
エプソンは、長期ビジョン「Epson 25」の第 2 期中期経営計画において、基本方針のひとつとして「資 産の最大活用と協業・オープンイノベーションによる成長加速」を掲げている。特に、IJイノベーションにおいては、PrecisionCoreを中心としたコアデバイスを用いたIJヘッド外 販ビジネスとオープンイノベーションの強化を目指している。
『R&D用インクジェット装置』の開発は、この方針に基づく、IJ技術を軸としたオープ ンイノベーションの取り組みの一つ。エプソンは1990年代からIJ技術の工業分野への 応用に取り組み、2006 年にはIJ印刷による液晶カラーフィルターの製造装置を実用化した 実績がある。また、回路基板などのデバイスの試作やOLEDインクの開発も、自社開発したIJ描画装置を用いて行っており、そのノウハウが本製品に生かされている。
『R&D 用インクジェット装置』は従来の社内装置と比較して大幅に省スペース化しながら、お客様の 使いやすさを高めており、インクの噴射性能評価から任意の素材を用いた試作まで行うことができる点が 特長。また商品化後も、導入されたお客様のニーズに応じて継続的に機能を拡充し、オプションとし て提供する予定。
さらに、この『R&D 用インクジェット装置』には、高精度で耐久性に優れたエプソン最先端のIJヘッド「PrecisionCore プリントヘッド」を搭載している。「PrecisionCore プリン トヘッド」は、最小単位であるプリントチップを組み合わせることで、多様なヘッド構成に対応できる拡 張性も有しているため、『R&D 用インクジェット装置』を用いた研究開発を通じてIJ技術 の新たな用途が確立された際には、同品質のプリントヘッドを実用に適した構成で供給することも可能となる。
なお、同製品の開発に先行する取り組みとして、7月にはIJを用いたフレキシブル基板の 製造・販売を行うエレファンテック(株)と資本業務提携を行った。また富士見事業所(所在地: 長野県諏訪郡富士見町)に開設した「インクジェット イノベーションラボ富士見」を拠点として、同社を含め、企業・研究機関等と連携した研究を開始している。
R&D用インクジェット装置
■開発製品の概仕様
名称:R&D用インクジェット装置
サイズ:横幅910×奥行900×高さ1860mm
プリントヘッド:インク滴の飛行観察機能、インク滴の着弾観察機能、100mm角ステージへの高精度描画機能
販売開始時期:2020年3月予定
■「第 2 回 高機能 塗料展」出展について
2019年12月4日(水)~12月6日(金)に幕張メッセで開催される「第2回 高機能 塗料展」に ブース出展し、『R&D 用インクジェット装置』の展示・デモンストレーションを行う。
※IJ技術の応用 「液状の材料を正確な位置に、必要な量だけ吐出する」というIJ印刷の特性を生かして、 紙に文字や画像を印刷する従来の用途だけではなく、新たな用途に技術を応用する取り組みのこと。 一例として、銀ナノインクを基材に印刷して配線基板を作る、OLEDインクを印刷してディスプレイの カラーフィルターを作るといった用途があり、今後はバイオプリンティングなど幅広い分野への応用可 能性も期待されている。
【関連リンク】エプソンのIJ技術の工業応用
www.epson.jp/prod/inkjet_application/