ダウは、世界で消費されるプラスチックを削減し、イノベーションを通じた循環型経済の実現を目的とした取り組みの一環として、米国テキサス州フリーポートの自社施設内に、消費者使用後の再生プラスチック (PCR: Post-Consumer Recycled)で改良を加えた、新たなポリマー改質アスファルト(PMA)道路を2本建設した。現在、両道路(プラスチックロード、ガルフストリームロード)とも通行に利用されている。
今回、デュポン社のアスファルト改質技術Elvaloy®を用いたことにより、以下の事項を達成した。
・再生LLDE(直鎖状低密度ポリエチレン)プラスチックを760kg以上使用(プラスチック製買い物袋120,000枚の重量に相当)
・ 2本合わせて800m近くにものぼるPMA舗装道路の建設。
・ PMA素材のコストを節減。
・ 性能グレード70-22の要件を充足。
ダウでグローバル建築分野サステナビリティリーダー兼パッケージング&スペシャルティプラスチック事業部インフラ・建設分野マーケティングマネジャーを務めるジェニファー・リー氏は次のように述べている。
「我々は、今回のプロジェクトの技術的な展望を考えると胸が躍る気持ちです。PCRを利用することにより、道路建設の際のPMA素材コストを減らすことができました。現在、多くの人にとって循環経済という概念は非現実的なものかもしれません。しかし、性能向上やコスト節減によって、持続可能な社会への取り組みをいかに実現していけるかが知られていけば、循環型経済の実現可能性は一段と高まります」
ダウの研究者は、今回のプロジェクトにおけるMartin Asphalt、American Materials、そしてVernor Material & Equipmentとの協業の成果を精査しており、PMA道路の寿命や性能をモニタリングし、様々な気象や条件の下でも使用に耐え得るよう、さらなる改良を計画している。また、ダウは現在、米国ミシガン州ミッドランドにある本社施設の駐車場においても、次世代型の再生プラスチック混合物を使用したアスファルト改修工事を計画している。
「ダウのグローバル・サステナビリティチームは、ダウのバリュー・チェーンにおいてパートナー企業とともに新たな建設分野のエンドユース・プロジェクトの特定に専心して取り組んでいます。市全域や高速道路、あるいは企業敷地内の広範囲における道路や駐車場の改良に、再生プラスチックやまだリサイクルされていない使用済み梱包・包装材を利用できるようになった時、それが社会へもたらすインパクトを想像してみてください」と、リー氏は述べている。
世界中のPMAプロジェクトを通じ、これまでにダウが敷設してきたPMA舗装道路の距離を合計すると42km以上となる。こうしたプロジェクトの結果として、100トンにのぼる廃棄物を、ゴミとして埋め立てる代わりに道路建設に転用することができた。
この北米でのパイロットプロジェクトに先立ち、ダウは2017年に、2025年までに海洋プラスチック廃棄物を70%削減することを目指すインドネシア政府の取り組みを支援する一環として、同国デポック市で再生プラスチックを使用した道路改良プロジェクトを実施した。
この実験的なプロジェクトで成果が出た後、インドのプネとバンガロールの両市で、KK Plastic Waste Management, Ltd.、Rudra Environmental Solutions、そして現地の2自治体と連携して、プラスチックを用いた道路改良プロジェクトに従事した。さらに、直近の事例では、タイのサイアム・セメント・グループとタッグを組んだプラスチックによるアスファルト道路改良プロジェクトなどが挙げられる。
■パッケージング・アンド・スペシャルティ・プラスチックについて
ダウ・デュポンの素材科学事業部門であるパッケージング・アンド・スペシャルティ・プラスチックは、研究開発の核となる強み、世界的な事業基盤、幅広い製品群、業界における専門性を通じて、プラスチックそして接着に関連する革新的で持続可能なソリューションを提供する。同事業部は、軟包装・硬質食品包装、第二次・三次包装、工業用、健康・衛生そして接着などの高成長市場に注力している。また、世界最大のポリエチレンメーカーの1つであり、バリューチェーンを越えたイノベーション・リーダー、そしてコラボレーターでもある。