再生可能エネルギーの普及拡大に向けて、洋上風力発電の導入が期待されているが、国内では遠浅な海域が少なく、比較的急峻な海底地形が多いことから、着床式洋上風力発電に加え、より深い海域に設置できる浮体式洋上風力発電の実用化が求められている。近年、国内外で浮体式洋上風力発電の実証研究が行われ、技術的な検証が進められている中、今後、実用化と普及を加速するためには、浮体式洋上風力発電の発電コスト低減に直結する先進的な浮体システムが必要となる。
こうした背景から、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)では、2016年から2017年度まで浮体システムの低コスト化に係る要素技術開発を実施した。そこから得られたシステムの安全性や事業性の評価結果を踏まえ、今般、2030年に発電コスト20円/kWh以下の達成を目標とした実証研究を新たに公募し、採択した。本事業では、「ガイワイヤ支持※1」や「タレットを用いた一点係留※2」などの先進的な要素技術を導入することにより、発電コスト低減を目指す。
本事業では、まずは実現可能性や事業性を評価するフィージビリティ・スタディ(FS)として、実証海域における基本設計や海域調査、事前協議などを行う。その後、外部専門家による審査にて、実現可能性や事業性が認められた場合、実際に浮体式洋上風力発電システムを製作し、実海域での1年以上の運転試験を行い、性能やコストを検証する予定。
事業内容は次の通り。
事業名:風力発電等技術研究開発/洋上風力発電等技術研究開発/次世代浮体式洋上風力発電システム実証研究(要素技術実証)
事業期間:2018~2022年度
委託予定先:豊田通商(株)、(株)グローカル、(株)寺岡、国立大学法人九州大学、国立大学法人東京大学、国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所
※1 ガイワイヤ支持
浮体と風車タワー頂部をワイヤで繋ぐことで強度・剛性を確保し、浮体・タワーを軽量化する技術。
※2 タレットを用いた一点係留
巨大なベアリングで構成される回転機構(タレット)により、係留システムと浮体の間を自在に回転できるよう保持し、浮体・風車を受動的に風向に合わせることで、浮体が波や潮流から受ける荷重を低減する技術。
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【浮体式洋上風力発電】NEDO、低コスト化に向けた実証研究に着手。2030年に発電コスト20円/kWh以下の達成を目指す
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