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【スーパーコンピューター】ゴードン・ベル賞のファイナリスト6チームのうち5チームが、NVIDIA Volta Tensor コア GPUを利用

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SnapCrab NoName 2018 9 28 8 3 5 No 00 R NVIDIAは、アメリカの国際計算機学会(ACM)が主催するゴードン・ベル賞のファイナリスト6チームのうち5チームが、NVIDIAのVolta Tensor コア GPUを活用していることを発表した。30年以上前に設立されたこの賞は、科学、エンジニアリング、および大規模データサイエンスで応用された、コンピューティング分野の優れた業績を称えるものであり、「スーパーコンピュータのノーベル賞」とも言われている。
 先日ACMより発表された今年のファイナリスト6チームのうち5チームが、オークリッジ国立研究所にあるSummitシステム、またはローレンス・リバモア国立研究所のSierraシステムを使用して研究を行った。NVIDIAのGPUが両システムに搭載されている。直近のTop500リストで、Summitは世界最速のスーパーコンピューターであり、Sierraは3番目の速さ。
 ゴードン・ベル賞の受賞者は、11月15日、ダラスのSupercomputing 2018カンファレンスで発表される。
 世界中の研究者のためのオープン・システムであるSummitは、200テラフロップスの高精度コンピューティング性能と3エクサフロップス以上のAI性能を実現するために設計されており、27,648のNVIDIA Volta Tensor Core GPUが搭載されている。この革命的なアクセラレーターにより、高精度な演算を組み込んだ多倍精度演算が可能になり、ディープラーニングを活用した効率的な処理によって、高性能コンピューティングの課題に対処することができる。
 さらに、今回の6つのプロジェクトの半分に、NVIDIAの研究者が参加しており、コードの開発および性能の調整に深くかかわった。ノミネートされたプロジェクトで著者としてリストされているNVIDIAの社員は、NVIDIA Japanのエンジニアも含め、以下の通り。
 NVIDIA Japanのシニアデベロッパーテクノロジーエンジニアである成瀬 彰(Akira Naruse)氏、M.A. クラーク (M.A. Clark)氏、マッシミリアーノ・ファティカ (Massimiliano Fatica)氏、マイケル・ヒューストン (Michael Houston)氏、ネイサン・ルエファー (Nathan Luehr)氏、エヴァレット・フィリップス (Everett Phillips)氏、ジョシュア・ロメロ (Joshua Romero)氏、ショーン・トレーチャー (Sean Treichler)氏。
 以下は、NVIDIA Tensor Core GPUを使った、ファイナリスト5チームのそれぞれの研究の概要。
1.高解像気候シミュレーションによる異常気象パターンの識別
 ローレンス・バークレー国立研究所のデータ科学者であるプラバート (Prabhat) 氏とNVIDIAのエンジニアであるマイケル・ヒューストン (Michael Houston)氏が率いるチームは、AIを使って、異常気象が将来どのように変化する可能性があるのかを分析した。チームは、SummitのNVIDIA GPUに内蔵された、専用のTensorコアを使い、報告されているディープラーニング・アルゴリズムで最速となる、1.13 エクサフロップスの性能を実現した。
2.AIと変動精度演算の利用による、地震シミュレーションの加速
 東京大学准教授の市村 強 (Tsuyoshi Ichimura) 氏が率いるチームは、Summitを使って、既存のアルゴリズムを強化した。その結果、速度が4倍になり、地震シミュレーションのなかで、地盤の振動と都市構造を組み合わせることが可能になった。
3.ゲノミクス・アルゴリズムの開発による、エクサスケールの処理速度の実現
 ダン・ジェーコブソン(Dan Jacobson)氏が率いる、オークリッジ国立研究所のチームは、これまで報告された科学応用で最速となる、2.31 エクサフロップスのピーク・スループットを達成した。この研究では、ある集団内での遺伝的変異が比較され、複合形質に寄与している遺伝子の隠れたネットワークが明らかにされている。チームが研究している疾病の1つにオピオイド依存症がある。2017年、米国では、この疾病の関連で5万人近くの人が亡くなっている。
4.電子顕微鏡データを使った、物質の原子レベル・データの識別
 ロバート・パットン(Robert Patton)氏が率いる、オークリッジ国立研究所のもう1つのチームは、Summitを使い、AIを活用したソフトウェアを開発し、原子レベルでの物質の組み立てを行った。チームは、MENNDLアルゴリズムを使い、3,000のノードにわたって、152.5テラフロップスの処理速度を達成した。
5.科学者が中性子の寿命を数値化するのを支援するアルゴリズムの開発
 いずれもローレンス・リバモア国立研究所で研究を行っている、計算核物理学者のアンドレ・ウォーカーラウド(André Walker-Loud)氏と計算理論物理学者のパブロス・ブラナス(Pavlos Vranas)氏が率いる、複数の研究機関の研究員で構成されたチームは、SummitおよびSierraのVolta GPUベースのノードを使い、陽子と中性子を作る亜原子粒子の物理特性を計算した。チームは、ワークフロー管理機能の改善により、前の世代のシステムの10倍の速度である、20テラフロップス近くの処理速度を維持できるようになった実例を示した。このチームには、NVIDIAのM.A. クラーク(M.A. Clark)氏が参加していた。

 これからの数週間にわたって、オークリッジ国立研究所より、すべてのファイナリストの研究の詳細が紹介される予定。
■NVIDIAについて
 NVIDIAが1999年に開発したGPUは、PCゲーム市場の成長に拍車をかけ、現代のコンピューター・グラフィックスを再定義し、並列コンピューティングを一変させた。最近では、GPUディープラーニングが最新の AI、つまりコンピューティングの新時代の火付け役となり、世界を認知して理解できるコンピューター、ロボット、自動運転車の脳の役割をGPUが果たすまでになった。今日、NVIDIAは「AIコンピューティング・カンパニー」として知名度を上げている。


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