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【バイオケミカル】NEDO、東レ、三井製糖、三井物産、タイでサトウキビ搾りかすからエタノール原料などを製造する実証プラント完成

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 タイは再生可能エネルギーの導入に積極的に取り組んでおり、2015年~36年までの「石油代替エネルギー開発計画(AEDP2015)」で2036年までに消費エネルギー量の30%を再生可能エネルギーにすることを目標に掲げている。また、タイの長期経済開発計画として2015年に示された「タイランド4.0」では今後20年間(2017年~36年)の成長戦略として、バイオ化学品産業は将来の産業基盤の1つとして位置付けられており、タイ国内での同産業が今後活発化していくことが見込まれている。
 こうした背景のもと、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、世界有数のサトウキビ産出国の同国において、非可食バイオマスであるバガスと呼ばれるサトウキビ搾汁後の搾りかすに着目。バガスには多くの有用物質が含まれているが、現在は発電燃料として使われており十分に活用されていなかった。そこでNEDOは、2016年8月、タイ科学技術省国家イノベーション庁(NIA)と、バガスの新たな有効利用に向けた実証事業に関する基本協定書(MOU)を締結し、実証に向けたプラントの設計、建設を進めてきた。
 今般、NEDOと東レ(株)三井製糖(株)三井物産(株)は、東レの膜利用バイオプロセス※1を利用して、バガスからバイオエタノール原料や各種化学品原料となるセルロース糖に加え、ポリフェノール、オリゴ糖といった高付加価値品を効率よく併産する、バガスを原料とした世界最大規模の実証プラント(生産能力:セルロース糖1,400トン/年[バイオエタノール換算で700kL/年]、ポリフェノール250トン/年、オリゴ糖450トン/年)をウドンタニ県に完成させ、2018年7月下旬に運転を開始する。本実証で、従来の糖液の蒸発濃縮法※2と比較して、有用物質の製造に要する消費エネルギーの50%削減を目指す。
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 7月6日(現地時間)には、実証運転開始にあたって、委託先3社が竣工式を開催し、日本およびタイ政府機関関係者や現地ウドンタニ県の関係者、現地企業、工事関係者らが出席した。
 今後、2022年度(予定)まで実証プラントの運転を行い、省エネ効果、生産物の性能、システムの経済性などの評価・検証を行う。事業終了後は、バガスを排出する製糖業者に対して本事業成果を活用した有用物質の製造工場の建設・稼動を支援していく。また、高分子膜利用技術による省エネ型の有用物質製造技術の教育セミナーやPR活動を行い、タイにおいてシステムの普及・展開を図る。
※1 膜利用バイオプロセス
 糖化、精製のプロセスに水処理用分離膜を使用することにより、非可食バイオマスから高品質、かつ低コストな糖原料の製造と精製エネルギーの約50%を削減可能にする技術。
※2 糖液の蒸発濃縮法
 糖液に含まれる水分を熱により蒸発させ濃縮する方法で、多量のエネルギーを必要とする。本実証システムでは、高分 子膜技術を用いて濃縮を行うため、エネルギー消費を削減できる。


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