大王製紙(株)は、セルロースナノファイバー(CNF)の研究開発を進めているが、今回、CNFとパルプ繊維を複合化したCNF高配合の成形体の開発に成功した。
このCNF成形体は、CNFの配合率を50~95%まで高めたもので、軽量かつ高強度というCNFの特徴を生かした高性能材料である。その性能は汎用プラスチック材料の約5倍の力学物性を有するとともに、高温領域では汎用プラスチック材料と比較して、約20倍もの弾性率を示し、熱特性に優れる材料である。これまでプラスチック材料が利用できなかった高強度用途や耐熱性を必要とする用途など、今後、以下のとおり多岐にわたる用途展開が期待される。
<用途の可能性>
自動車部材、建材、家電筐体、電子基板、スポーツ・レジャー用品 等
■CNF高配合の成形体の物性について(CNF配合率80%の例)
●厚さ:100~500μm程度
●汎用プラスチックとの物性比較 ( )内は成形体の物性値
(1)引張弾性率(材料を引っ張った際の変形のしにくさ)
23℃:約5倍(13~17GPa)
90℃:約20倍(10~12GPa)
(2)引張強度(材料を引っ張った際に破壊するのに要する力)
23℃:約5倍(100~150MPa)
90℃:約8倍(55~70MPa)
※上記数値は測定値の一例であり、品質を保証するものではない。