日立化成(株)は、自動車電装品用モーターの異音発生を抑制できる焼結含油軸受の開発技術に関する基本特許第6011805号(以下、本特許)について、第三者からの特許異議申立てが申請されていたが、特許庁の審理の結果、2017年7月に日立化成の特許維持が決定したことを明かにした。
焼結含油軸受は、細かい穴の空いた金属の構造(多孔質)体に潤滑油を染み込ませて作られており、モーター等の回転軸を支持する部品として使用されている。自動車の窓の開閉に使用されるパワーウィンドウ用モーターのようにモーターの作動時間が短い場合、軸と軸受の間に染み出す潤滑油の量が不足し、金属の接触が生じることにより、異音が発生するという課題があった。
そこで、日立化成は、軸受内の細かい穴の大きさと分布を制御することで、軸と軸受の間に染み出す潤滑油の量を調整する技術を開発した。これにより、金属の接触を防ぐことができ、自動車電装品用モーターの異音を抑制することに成功した。
日立化成は、2013年に本開発技術に関する基本特許を出願し、2016年9月に特許を取得。本特許は注目度が高く、特許取得後の2017年4月に第三者からの特許異議申立てが申請されていたが、特許庁の審理の結果、日立化成の特許維持が決定した。なお、本特許の関連特許として、特許第5772498号を保有している。
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【焼結含油軸受】日立化成の基本特許が維持決定
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