ウシオ電機(株)は、自社が有する光源や光学、リソグラフィなどの光技術を活用した「微細加工サービス」を11月1日より開始した。なお、同サービスにおける微細加工の受託、および販売する機能部品の概要は、今月14日から16日に科学技術館(東京・北の丸公園)で開催される「光とレーザーの科学技術フェア―2017」のウシオブースで、実物展示を交えて紹介される(ブースNo.A-6)。
■微細加工サービスの概要
「光」の専門メーカーとして培ったランプやレーザー、LEDなどの光源技術、ミラーやレンズ、フィルタなどの光学技術、また露光装置に求められるアライメントやステージ制御などの各要素技術、さらに、エレクトロニクス向け製造装置に搭載している微細光学素子や各種部品の開発・製造ノウハウをベースに、微細加工の受託および機能部品の販売(初年度販売は紫外線用ワイヤグリッド偏光板、マイクロレンズアレイ、ナノインプリント用モールドを予定)を行う。
■サービス開始の背景
近年、微細加工が施された基板表面には、液体への特殊作用(超撥水、超親水)や光の機能(偏光、位相制御、無反射、集光、拡散)など、様々な機能が発現することが分かってきた。これら表面機能を有する部品(機能部品)は、自動車や通信、映像、医療など幅広い分野での活用が期待されているが、現在、以下の理由により一部の半導体デバイスメーカーからの製品化および活用に限定されている。
・微細加工は基板に微細形状を作製するため、光でのパターニング(フォトリソグラフィ)が一般的。
・しかし、フォトリソグラフィに必要な微細マスクや製造装置(露光装置)は非常に高額。
・そのため、柔軟な研究開発や製造テスト・調整(複数形状の検討やマスクの再作製など)が困難。
・結果、開発コストや時間面において、製品化のハードルが非常に高い。
これらに対し、同社は、光源や光学部品、ステッパやコンタクトなど様々な露光装置の開発経験、そして、リソグラフィプロセスに知見のあるスタッフを数多く有しており、これらを微細加工の専門施設に集約させることで、新規プロセスや微細加工の初期開発のハードルを下げ、試作から量産化まで一貫した開発・生産体制の提供を実現した。
■具体的なサービス内容
【受託加工】
微細加工専用に開発したマスクレス露光装置をはじめ、半導体プロセスで使用されているウシオの露光装置を用いた受託加工。ご相談→設計→試作→製品化まで、ワンストップで対応する。
【機能部品の販売】
初年度のサービスラインアップは以下の通り。
1)紫外線用ワイヤグリッド偏光板
同社独自の偏光板設計技術、製造プロセスをベースとした微細光学素子。分光器や分析検査装置、分子配向技術への応用が期待されている。
2)集光用/拡散用マイクロレンズアレイ
微細構造体形成による微小領域への集光、また非球面形状により集光-拡散性の制御が可能なマイクロレンズアレイ。無機材料をベースとし、耐熱性や光透過特性に優れている。自動車用HUD、レーザープロジェクター、露光装置、照明用途などのレーザーアプリケーション向けの拡散、結像用途に使用可能。
3)ナノインプリント用モールド
サブミクロンからミクロンまで、大面積かつ高均一性を実現したモールド。反射防止フィルム加工、撥水表面加工、回折格子など、多様なアプリケーションに使用可能。