<Midland, Mich.およびWilmington, Del., 2017年9月12日>ダウ・デュポン(DowDuPontTM)は、取締役会および経営陣が、独立アドバイザーの支援のもと、計画されている3つの独立した企業の製品ポートフォリオの包括的な見直しを完了したことを発表した。経営統合の計画発表後に得られた知見を踏まえ、取締役会は全会一致で素材科学部門と特殊化学品部門における製品群の一部変更を決定した。これにより、将来の各企業の競争力は強化される。この変更により、両事業はさらに市場に適した体制となり、焦点が明確化され、市場における存在感が増し、イノベーションの対象の絞り込みや成長力がより高められ、それぞれの事業が業界リーダーとして成功する準備が整えられることになる。
ダウ・デュポンの取締役会は、マッキンゼー・アンド・カンパニーからの助言を含む、社外リードディレクター等による包括的な見直し、経営統合発表から20カ月間で得られた知見を生かした経営の分析結果、投資家やファイナンシャルアドバイザーを含む幅広いステークホルダーの意見などを基に、今回の変更を承認した。結果、ダウ・デュポンは以下の事業部を、素材科学部門から特殊化学品部門に再編成する。
◎ダウのオートモーティブ・システムズにおける接着剤およびフルード製品群
◎ダウのビルディング・ソリューション事業
◎ダウのウォーター・アンド・プロセス・ソリューションズ事業(イオン交換樹脂・膜)
◎ダウのファーマ・アンド・フード・ソリューションズ事業
◎ダウのマイクロバイアルコントロール事業(バイオサイド)
◎デュポンのパフォーマンスポリマ事業
◎工業用LED、半導体、メディカル用のシリコーン事業、自動車・工業用のMolykoteブランド特殊潤滑剤および熱可塑性コンパウンドを提供しているMultibase lnc. (注1)
(注1)ただし、日本で東レ・ダウコーニング(株)が展開しているビジネスの移管については未定。
2017年度の見通しでは、特殊化学品部門に再編成される事業部の総売上高は80億ドル以上、営業EBITDAは、旧ダウコーニングのEBITDAの約40%を含む約24億ドル。統合合意内容の原案からの調整は以下の通り。
◎旧ダウの製品ポートフオリオであるコンシューマー・ソリューションズとインフラストラクチャー・ソリューションズからそれぞれ20億ドル、合計約40億ドルの事業
◎旧デュポンのパフォーマンスポリマー事業の約40億ドルの純売上高が、特殊化学品部門に移管
「ダウ・デュポンの取締役会は、これらのポートフォリオ調整が、すべてのステークホルダーに長期的な価値をもたらす正しい決定であることに確信を持ち、全会で一致しています。またポートフォリオの調整は、マッキンゼー・アンド・カンパニーをはじめとする、独立した第三者アドバイザーによる新鮮な視点など、ダウとデュポンの取締役会が過去何カ月にもわたり行ってきた大規模な包括的分析の明確な結果です。また、両社が協力して統合準備を進めて行く過程で得られた知見が基となっています。これらの調整は、厳選した事業が垂直市場により適した体制であること、戦略的バリューチェーンにおいて統合による強みとイノベーションの強みを保持することから、素材科学部門の諮問委員会にも承認されています。結果として、素材科学部門および特殊化学品部門は、共に焦点が絞られたイノベーションおよび技術開発を通じてお客様への対応力を高める体制となり、最高レベルの、より広範な製品群を通じて成長を加速することができるようになります」と、ダウ・デュポン執行役会長のアンドリュー・リバリス氏は述べている。
「この変更は、ダウ・デュポンの競争優位性と価値創造の可能性を高める一方、将来の会社がすべてのステークホルダーに長期的価値をもたらす、最適な基盤の上に築かれることとなるでしょう。今回のポートフォリオ構成の戦略的な論理は事実により立証されています。それぞれの計画された独立会社はより強固な競争力、高付加価値ソリューション、そして確かで魅力的な投資テーマを持つと共に、戦略的成長とシナジーの達成を最大化することができます。明確な焦点をもって、それぞれの会社が魅力的な成長市場に対応し、イノベーションに投資し、より株主に還元することができるようになります」とダウ・デュポン最高経営責任者のエドワード・ブリーン氏は述べている。
ダウ・デュポンは、発表されているランレートで約30億ドルのコスト相乗効果および約10億ドルの成長効果を達成することを強調している。
ポートフォリオの再編により、設立が計画されている3つの企業は以下のようになる。
業界をリードするアグリカルチャー会社
デュポンパイオニア、デュポン農業製品事業、およびダウ・アグロサイエンスの強みを併せ持ち、卓越したソリューションのポートフォリオ(種子、遺伝形質、作物化学品、種子処理、作物栽培学そして精密農業サービス)および、より広範な選択肢および価値ある価格を提供することで、世界中の農作物生産者により良いサービスを提供する。
予定されるアグリカルチャー会社は、融合された能力と極めて生産性の高いイノベーションにより、より広範な製品郡を市場により迅速に提供することが可能となる。またこれによりイノベーションの提供と生産者の生産性および収益性の向上を支援する、より良いパートナーとなる。将来のアグリカルチャー会社は米国デラウエア州ウィルミントンに本社を設置し、アイオワ州ジョンストンとインディアナ州インディアナポリスの拠点はグローバルビジネスセンターとなる。
業界をリードする素材科学会社
業界首位の素材科学に基づくソリューションプロバイダーとなる。売上の大部分は、包装材料、インフラストラクチャーそしてコンシューマー・ケアからなる、3つのより絞られた深い、高成長が見込める垂直市場で占められる。業界で最も強固かつ専門的な能力を基に、強固な技術力、統合された資産、スケールと競争力を基盤に、顧客に真に差別化された素材科学ソリューションを提供する。将来の会社は以下の3つの強力な市場を牽引する事業で構成される。
パフォーマンス・マテリアルズおよびコーティング
顧客を支援する幅広い技術基盤を集約し、ホーム・ビューティーケア用途に特別な機能とプロセス向上をもたらし、建築および工業用塗料の性能を向上するソリュ・一ションの開発を行う。
工業用中間材およびインフラストラクチャー
製造プロセス、インフラ市場そして川下の最終製品に独自の特性をもたらすソリューション開発を行う。当事業ユニットの技術により、オイル・ガス資源の利用を可能にし、機械的プロセスで発生する摩擦や熱を最小化する添加剤により製造を最適化し、油と水の界面をコントロールし、相溶性を調整、白物家電における省エネ化を前進、優れた調整剤や添加剤を通じてインフラ材料の特性を付与する。
パッケージング・アンド・スペシャルティ・プラスチック
世界でも最も深く、差別化された高機能プラスチックポートフォリオとなる。当事業ユニットの技術は、消費者やブランドオーナーが求める、包装によるより高い利便性を叶え、食品ロスを減らし、世界で開発が進むテレコミュニケーションや送電技術を促進する。
計画された素材科学会社はダウTMブランドを保持し、米国ミシガン州ミッドランドに本社が設置される。
業界をリードする特殊化学品会社
顧客主導型のイノベーションリーダーとなり、産業や日々の暮らしを変革する、技術を基盤とした差別化された素材や原料、ソリューションを提供する。市場に対する知見と科学・用途開発に関わる専門性を用いて、エレクトロニクス、トランスポーテーション、建物・建築、ヘルス・ウェルネス、食料・安全などの市場における、顧客ニーズを解決していく。将来の会社は、以下の市場をリードする4つの事業で構成される。
エレクトロニクス&イメージング
最も広範な材料とテクノロジーを保有する世界最大のサプライヤーとして、半導体、回路基盤、太陽光発電、ディスプレーおよびフレキソ印刷業界における複雑な課題への解決に寄与し、次世代のコネクティビティおよび機能性、エレクトロニクスの能力を自動運転や電気自動車などの日常生活と一体化することを可能にしていく。
トランスポーテーション&高機能ポリマー
業界のリーダーとして、高機能エンジニアリング樹脂、接着剤、潤滑剤および部品を、トランスポーテーション、エレクトロニクス、メディカル分野の技術者や設計者に、要求が厳しい用途や環境に向けた包括的なソリューションを提供する。
安全&コンストラクション
世界的リーダーかつ信頼できるパートナーとして、高機能繊維や発泡体、アラミドペーパー、不織布、膜、ろ過技術および防護服を含む分野をリードする特許で保護されたブランド製品を建築、作業員の安全、エネルギー、オイル&ガス、輸送、水処理、メディカルなどの市場に提供する。
ニュートリション&バイオサイエンス
マーケットリーダーおよび技術のパイオニアとして、食品、医薬およびパーソナル・ケア市場の顧客とのコラボレーションを通じ、プロテインおよび微生物エンジニアリング、工業規模の発酵など、植物由来の原料やバイオサイエンスを駆使して、高機能かつ健康で、持続可能な製品(プロバイオティクス、酵素、抗菌技術、医療用添加剤やバイオマテリアルなど)を開発していく。
特殊化学品会社の本社は、米国デラウエア州ウィルミントンに設置される。